ステップ4は取引価格の配分です。
【ステップ4の意義】
ステップ3で算定した取引価格をステップ2で識別した履行義務にそれぞれ配分します。
ステップ3で算定した取引価格は契約単位で算定したものであり、必ずしも履行義務それぞれの価格の単純合計ではありません。また、すべての履行義務が同じ方法かつ同じタイミングで充足されるわけでもありません。そのために、契約単位で算定した取引価格を一定の方法でそれぞれの履行義務に配分し、それらが充足されたときにそれぞれ収益として認識できるようにする必要があるのです。
【主な論点】
①直接観察可能な独立販売価格があるかどうか
モノまたはサービスが独立して販売される場合の価格を独立販売価格といいます。(会計基準9項)独立販売価格が直接観察できる場合は、当該独立販売価格の比率で取引価格をそれぞれの履行義務に配分します。
注意しなければならないのは、契約書に記載された履行義務の価格が独立販売価格であるとは限らないことです。契約書の価格が独立販売価格を反映したものでない場合は、いくら契約書に書かれていても、それをもとに取引価格を配分することはできないと考えられます。
②独立販売価格の見積りをどのように行うか
直接観察可能な独立販売価格がない場合は、合理的な入手できる情報を最大限利用して見積もることになります。
適用指針31項には以下の3つの方法が紹介されており、単独でまたは組み合わせて使用します。
(1)調整した市場評価アプローチ
(2)予想コストに利益相当額を加算するアプローチ
(3)残余アプローチ
どの方法を用いるかは取引の種類・内容等によって異なりますので、それぞれ決定しなければなりません。
③値引きおよび変動対価の配分をどのように行うか
値引きや変動対価が契約内のどれかひとつまたは複数(ただしすべてではない)の履行義務と個別に関連している場合は、ひとつまたは複数の履行義務だけに配分することになります。個別に関連しているかどうかは、会計基準71項および72項にある要件を検討することによって判断します。
これもやはり、取引の種類・内容等によってそれぞれ決定しなければなりません。
【内部統制上の課題】
経理部門は契約書を見ただけでは通常、独立販売価格がいくらなのか、またどのように見積もるのかは分かりません。したがって、営業部門とあらかじめ協議し、取引毎に独立販売価格の有無、見積り方法などを文書化しておく必要があります。
JIM ACCOUNTING
名古屋市名東区にある公認会計士・税理士事務所です。
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