内部統制報告制度の運用の実効性の確保について(その3-子会社)

【子会社での不備の特徴】

その2で述べたように東証1部企業では子会社での不正が多いですが、親会社によるモニタリングが十分でないことが一つの原因でした。

子会社側での内部統制の不備の原因としては、人員不足で職務分掌が十分に機能していなかったり、経営者の暴走を止める仕組みがないことなどがあげられます。

子会社は本業ありきでまずスタートし、管理体制は後から徐々に作り上げられますので、設立して数年あるいは数十年が経過しても有効な管理体制ができていないことがあります。

特に海外の場合は、現地従業員とのコミュニケーションがうまくいかず、内部統制が思うように機能しないことがあります。

また、子会社には子会社特有のリスクに応じた内部統制の整備と運用が必要になりますが、子会社が単独で対応するのは難しいと思われます。

【上記を踏まえた考察】

親会社は連結ベースで有効な内部統制を構築することが求められており、人員的・能力的な観点からも、子会社の内部統制により積極的にコミットしなければなりません。

親会社だけでは限界があるのであれば、地域の統括会社も巻き込んで多層的に子会社をモニタリングする体制も検討の対象になります。

親子間で共通化できるものはできるかぎり共通化していくことも重要です。外資系企業ではグループ全体で同じERPパッケージを使うことが多いですが、日本企業でもどんどん導入が進んでいます。システムを共通化することによって、子会社でのシステム管理要員を少なくしたり、同じ内部統制を効かせたり、タイムリーに指導・チェック・モニタリングすることも可能となります。

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JIM ACCOUNTING

名古屋市名東区にある公認会計士・税理士事務所です。