最後に表示・開示を見てみましょう。
【表示】
企業は収益を認識すると同時に対価を受け取る権利を意味する資産を認識します。(現金商売や前受金がある場合を除く。)従来であれば、当該権利は売掛金という科目で貸借対照表に表示されていましたが、今後は契約資産または債権として適当な科目名で表示されることになります。
なぜ、契約資産と債権の二つがあるのでしょうか?それは収益の認識金額がそのまま顧客に対する請求金額とはならないからです。ステップ4で見たように、履行義務に配分される金額は契約書に記載されている金額と必ずしもイコールではありません。認識した収益のうち、契約書に記載され法的に請求できる金額は債権となりますが、それを上回る金額は契約資産となります。(下回る場合は契約負債になる。)
企業は対価を受け取る権利を契約資産と債権にそれぞれ分けて貸借対照表に表示するか、まとめて貸借対照表に表示したうえで、それぞれの残高を注記しなければなりません。(会計基準79項)
【注記】
上記のように契約資産と債権をまとめて貸借対照表に表示した場合は、それぞれの残高を注記します。
また、主要な事業における主な履行義務の内容と当該履行義務を充足する通常の時点を注記します。(会計基準80項)すなわち、主要な取引についてそれぞれ収益の認識基準を注記することになります。
IFRS15号では注記の内容はより充実していますが、日本の収益認識基準では企業の実務負担に配慮して注記は大幅に簡素化されています。
JIM ACCOUNTING
名古屋市名東区にある公認会計士・税理士事務所です。
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