収益認識基準ステップ3-取引価格の算定

ステップ3は取引価格の算定です。

「「取引価格」とは、財又はサービスの顧客への移転と交換に企業が権利を得ると見込む対価の額(ただし、第三者のために回収する額を除く。)」をいいます。(会計基準8項)

簡単に言えば、モノやサービスのお値段です。取引価格はステップ1で識別した契約単位で算定し、ステップ4で個々の履行義務に配分されます。

【主な論点】

①変動対価の見積り

対価の額は固定であることが多いですが、変動する場合もあります。

例えば、ボリュームに応じたディスカウントがある場合は、売り手が買い手から受け取る対価は当該ボリュームに応じて変動します。この場合、売り手は最終的に受け取ることになる対価の額を見積もらなければなりません。ディスカウントを支払うボリュームを超えるかどうか、どのディスカウント率が適用されることになるのかなどを合理的に入手できるすべての情報を考慮して見積もらなければなりません。しかも変動対価が確定した時に、一度認識した収益が著しく減額されることのない範囲で取引価格を見積もらなければなりません。


②重要な金融要素

対価のなかに回収するまでの期間に応じた金利が含まれる場合は、当該金利相当分を除く必要があります。金利は時間の経過に応じて別途認識することになります。

回収期間がかなりの長期間に及ぶ場合(1年を超える場合)などは、金利が含まれているかどうか、またどのように計算しているのかなど、営業部門に確認することになります。


③現金以外の対価

対価を現金以外である場合、例えば有価証券や土地などの現物で受けとる場合は、当該対価を時価で算定することになります。とはいえ、現金以外の対価を受け取ることは、きわめて限定的でしょう。包括的な基準であるゆえに触れられていますが、論点になることは少ないと思います。


④顧客に支払われる対価

売り手が買い手に対して(1)支払う現金や(2)クーポンなどがある場合は、これらの金額を取引価格から減額します。

(1)の例としては、売り手の商品を買い手の店舗内で展示するための棚代を負担するケースがあります。(2)の例としては、ある商品の販売時に手渡す割引券があります。(2)のケースは小売業や飲食業などいろんな業界で幅広く認められますので、要注意です。


【内部統制上の課題】

特に上記の①と④(2)は幅広い業界で認められますので、経理部門は営業部門からその実態をヒアリングし、適切に会計処理できる内部統制を構築しなければなりません。

また、会計処理の仕方やタイミングも変ってきます。①は従来、金額確定時に売上または費用から控除するケースが多かったと思われますが、今後は、収益認識時点で売上から控除しておかなければなりません。④(2)も従来は発行時に引当金計上する形で費用認識していると思われますが、今後は、やはり売上から控除し、引当金ではなくて契約負債(すなわち前受金)を計上することになります。

①から④は取引価格の算定に含まれることになるため、すべて売上の金額に反映されることになるためです。


次回は、ステップ4取引価格の配分です。

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JIM ACCOUNTING

名古屋市名東区にある公認会計士・税理士事務所です。