収益認識基準の前置き

3月30日にようやく「収益認識に関する会計基準」が公表されました。

本基準では以下の5つのステップによって収益を認識します。

ステップ1:契約の識別

ステップ2:履行義務の識別

ステップ3:取引価格の算定

ステップ4:取引価格の履行義務への配分

ステップ5:収益の認識

この5つのステップはさらに以下の3つに括ることができます。

ステップ1とステップ2→①会計処理単位の決定

ステップ3とステップ4→②収益の測定

ステップ5      →③収益の認識

①は会計処理を行う単位をしっかり決めようということです。そうでないと性質の異なるものを同じように会計処理してしまうおそれがあるからです。たとえば、同じ契約のなかに物品の販売とメンテナンスなどのサービスが含まれているときは、収益が実現するタイミングが異なってきますので、それぞれ分けて会計処理しなけければなりません。

米国基準やIFRSでは以前から同じ契約内の物販とサービスの提供を分けて会計処理する考え方がありましたが、IFRS15号でもその考え方は引き継がれ、それをベースにして開発された本基準も然りです。

②は収益の金額を「最終的に」受け取ることになるであろう金額で測定しようということです。いったん受け取っても返金したり減額する可能性がある場合は、あらかじめ控除した金額で収益を測定しなければなりません。

従来は、返金・減額した(することになる)金額を売上から控除したり、販売費にしたりと実務が分かれていましたが、今後は売上からの控除に統一されることになります。

また、これによって将来返金する可能性のある金額を引当金に計上する実務もなくなります。

③は収益を一時点で認識するか一定期間にわたって認識するかをしっかり決めようということです。①で会計処理単位がそもそもしっかり決められていないと、収益の認識時期を誤るおそれがあります。

以上を念頭に置いたうえで、まずはステップ1から解説していきます。

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JIM ACCOUNTING

名古屋市名東区にある公認会計士・税理士事務所です。